雑誌を探して三千里

2003年6月15日
 今日の昼前、母からの依頼で博多駅付近に用事があり、その序で久しぶりに紀伊国屋書店博多駅店へ行った。
なん〜としても入手したい雑誌があったのだった。過日よりずっと探していたのをこの日記にも書いた。本来九州では流通していない関東版の雑誌『Hanako』である。この雑誌は東京、横浜エリアをカバーしている女性向き情報雑誌だ。
マガジンハウス社発行で370円と非常に安価な雑誌ながら、家の近所にあるような書店では全く取り扱ってはいない。福岡で入手するには博多駅近辺や天神の紀伊国屋書店、福家書店、または丸善あたりの超メジャー級の書店でなければ、まず取り扱っていない雑誌だった。
 博多駅前、三井住友銀行裏手の20分100円のコインパーキングに車を駐め、晴れた日差しから逃げるように博多駅交通センターへ駆け込んだ。6階にある紀伊国屋書店博多駅店のフロアにつくと、やはり流石に広い!
何処にあるのだろうかと2周くらいウロウロしたのち、ようやく見つけた!
…と思ったら…えっ!?『Hanako WEST』???
なに?この本…『Hanako』ぢゃねーのかよォ?
店員に尋ねてみるとこの本は『Hanako』の関西版で、内容は全く違うということ。
じゃ、『Hanako』のほうは?
「申し訳ありません。先日まであったようですが、売り切れのようです」
がびーーん!!!
せっかくここまで来たのによぉ!泣いてやるぅ〜…
びえ〜〜ん…

2フロア下の100円ショップ・ダイソーで少し買い物をした。(おいおい、ついこの間、大量に買いこんだんじゃねーのかよっ!)そののち、エスカレーターで下り、ビルを出て車に戻った。


 出庫してから、今度は天神の紀伊国屋書店に行ってみようと、大博通りを北上し、呉服町の交差点を左折して明治通りを西進した。駐車場所を探すのに多少グルグルと回ったが、千代田生命ビルの裏の路地にあるパーキングメーターに1台分の空きを見つけた。「ラッキー!」だがこのパーキングメーターは搬出入用のトラック専用なのだった。でも日曜日でトラックは全然利用していないからいーじゃん!とばかりに、勝手に利用させてもらうことにした。
僕の中の良心クンが「おい!やっぱ道義的に無銭駐車はマズいだろう!」そう囁いたので、掲示してある300円を、ちょっと勿体無いかな?と思いながら断腸の思いで投入口にチャリン、チャリン、チャリンと入れてから明治通りに出た。
 日曜日の天神なんて久しぶりだった。思った以上に若いカップルが多く、少し辟易しながらその間をすり抜けるようにして西日本銀行の角を曲がり、裏側からVIVREに入った。“VIVRE21”と“天神コア”の両ビルは背を向け合うようにして隣接しており、中では連絡通路で繋がっている。
通路を抜けてコアに入り、6階にある紀伊国屋書店までエスカレーターで上がった。

 紀伊国屋書店福岡天神店は福岡の書店の中では最も品揃えの良い書店として、入手困難な本を探す本好きにとっては、古くから信頼のある大型書店で、天神コア建設と同時にワンフロア占有してテナントに入っていた。
僕も中学、高校時代から何度ココに来たことだろう。近所の本屋にない本を探すときはいつもココだった。
あらゆるジャンルにオールマイティに充実しており、新宿駅東口にある本店をギュッとワンフロアに凝縮したような書店だった。
ここ3年ほど全く来ていなかったうちにすっかり本の配置が変わってしまい、どこに何があるのか全く分からなくなってしまっていた。
 僕は小学生の頃から無類の本好きで、高校時代はココにしょっちゅう来ていた。青春の1ページの思い出を刻んだ場所と言っても過言ではないだろう。

あまり長い時間あの場所に車を駐めっ放しにしておくと心配だ。青春の感傷に浸っている暇もなく、雑誌を探した。
棚の配置換えによって雑誌とコミック関連は7階に移っていた。7階のエレベーター側のほうは改装工事中で奥の階段を利用するようになっていたので階段で7階売り場に上がると、なんと目の前の陳列棚に『Hanako』はあった。それも最後の一冊!
抱きしめるようにしてレジに向かい代金を支払った。
この際、女性雑誌を買う恥ずかしさなんて気にしてはいられなかった。
 そそくさと、またエスカレーターを利用して1階に下り、ちょっとだけ福家書店に寄り、大好きな漫画家である星野之宣、諸星大二郎の新作をチェックした。この天神コアには大型書店が6、7階の紀伊国屋書店の他にもう一店、B1、B2に跨って福家書店がある。紀伊国屋が総合書店であるのに対し、こちらは文芸、漫画、写真集などが専門でそちら方面のジャンルでは紀伊国屋よりも品揃いが充実している。
僕のお気に入りのSF漫画の双璧・星野&諸星両氏の作品は若干難解なところがあり、また一種マニアックなので、並大抵の書店では網羅していることはあり得ないのだ。
僕の知る限り福岡では福家書店かまんがの森くらいだろう。

 …で、店を出、さらにビルを、また裏側から出て車に戻った。
雑誌を買った喜びを胸に、帰宅して早速読むことを期待して、カーステレオの『さくら』(森山直太朗)を大音量で歌いながら、ウキウキ気分でハンドルを握り家路を急いだのだった。

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