一足お先に「美術の秋」?
2003年9月7日今日は日曜日。
せっかくの好天だから溜まっていた洗濯物を片付け、ついでに毛布を干して…と色々やっていたら、あっという間にもうお昼。
毎週日曜日正午恒例のKBCテレビに釘付けになっていまった。
福岡の地元TV局「KBC九州朝日放送」(テレビ朝日系列)では日曜日の正午から自局制作の番組が2つ続く。
12:00からの『九州 街道を行く』と、
12:15からの『るり色の砂時計』だ。
ボクはこの二番組が大好きで毎週必ず、見られないときはビデオ録画してまで見ているのだ。
『九州 街道を行く』は、日本一の歴史作家・司馬遼太郎氏の名著「街道を行く」の九州地域の記述を基礎としてその引用文を紹介しながら各地の歴史や、あるテーマに沿ったその歴史を紐解いて行く紀行&歴史ドキュメンタリー番組で、各地の地元郷土史家や教育委員会などの尽力も大きな番組構成要因である。。
司馬氏の私見もなるべく交えることなく、あくまでも史実を追求していく…という、極めて良質の歴史番組。
歴史好きな僕には大変なご馳走とも言える番組なのだ。
『るり色の砂時計』は、
九州全域&山口県を舞台に、各地を巡って様々な名所旧跡、お店、宿そしてその土地ならではの美味しいものなど…を、地元の人々と交流を深めながら
紹介して行く旅情報番組。
この番組と『街道を行く』は九州ブロックネットで、福岡の他、山口、大分、長崎、熊本、鹿児島のテレビ朝日系列局でネットされており、
殊に『るり色』の人気は全国的にも高く、スカパー『スカイ・A』チャンネルでも放送されている。
いつの間にか土曜28時…というより日曜早朝4時から再放送もされているのはやはり好評だからなのだろう。
現在のナビゲーター・小島かおりさんは人懐っこそうで爽やかな笑顔がとても好感も持てるのだが、個人的には、その前のナビゲーターだった溝口多佳子さんのほうが好きだったなぁ…。
ドライブが趣味で九州各県大抵一通りは回っている僕としては、こんなに楽しく見られる旅番組なんて
そうそうない。
…というわけで、2つの番組を見終わったのが12時55分頃。その後色々と片付けものなどをした後、2時半頃から外出した。
目的地は福岡市美術館。
ここで現在『ミレー3大名画展』が開催されているのだ。
昔からミレーやドガ、ダリ、ロートレック、シャガールなどの絵が大好きだった。
特にミレーとドガの描く絵の雰囲気と繊細なタッチには中学生の頃の美術の教科書で初見したときから、一度で魅了されてしまった。
ミレーの絵では、日本人には『落穂拾い』が最もポピュラーで、その次が『晩鐘』といったところだろう。僕も『晩鐘』は彼の絵の中で最も好きな絵の一つだ。でもそれ以上に一番好きなのが『種をまく人』なのだが、大変残念なことにこの『種をまく人』が今回のミレー展では展示されていなかったのだ。彼の作品の中でも有名な作品の一つだから当然あるものだと思って行ったのに少しガッカリだった。
親友のOでも誘って行こうかと考え、前日から電話していたのだが、結局連絡がつかぬまま出発した。
大好きなミレーの本物を目にする機会など、今後もうありえないだろう。
そう考えると、たとえ一人でも、どうしても行くつもりだった。
僕の性格だから「そのうちに絶対…」なんて思っていると、結局行かないまま会期終了してしまうに違いないのだ。だから「行こう!」と決心した以上、絶対に今日行かなければならない。と自分に強く言い聞かせ、家を出て車を走らせた。
福岡市美術館は大濠公園の南側にあり、アパートから車で15分程度の距離だ。
美術館の周囲にある駐車場の車の数が予想以上に多かったので「もしや…?」と思いながら美術館に近づいて行くと観光バスや貸切バスなども何台も駐車していた。
「マジ…?」
館内に入り、『ミレー3大名画展』会場になっている「特別展示室A」のある2階に上った。人列の最終に並んで窓口で入場料1300円を支払いチケットを買った。展示室に向かっていくと、やっぱり日曜日だけあって予想以上の人、人、人…。
展示室入口の前には30m近くの行列。
最後尾に2列で並ぶように案内され、
「本日は大変大勢のご来場のため入場制限させて頂きます」と言うことで、一度に20〜30人ずつ中に入れていた。
展示されている絵はミレーだけではなく、44人77作品が展示されていた。
どれもヨーロッパの農業風景や土や草の薫りが漂ってきそうな作品ばかりだった。
どの絵にもこれでもかっ!というほどの観客が群がっている。
絵を鑑賞する場合、そのサイズによってベストな距離というものがある。
例えば『落穂拾い』のカンヴァスは83.5×111cmだが、その場合、2m少し離れて見なければ視界の中のベストポジションに絵全体を収めることが出来ない。当然その距離は大きさに比例するわけだが…。
僕が絵を見るときは、まずそのようにベストな距離をとって全体を見て、全体のイメージ、色彩、構図、内容などを見る。
そしてその時点で気になった箇所があれば間近に寄ってから詳細を見る。それから絵の横にある説明書きプレートで作品名、画家名、製作年、所蔵美術館名をチェックして再度、今度は比較的近い位置から上下左右に移動しながら絵の隅々まで鑑賞する。
というのを1枚1枚繰り返す。
ただ、気に入った絵、印象が深い絵は何度も繰り返して鑑賞したりもする。
でも、今日はあまりに人が多すぎて充分納得が行くまで見ることが出来ない絵もいくつかあったのが残念だった。
オバちゃんなどは絵から50cmくらい間近なラインをずーっと横に移動して行くような人なども案外多く、邪魔でしょうがなかった。
とても絵を見に来ているようには思えない人も多く、「あんた本当に好きで見に来たの?」と尋ねたい衝動に駆られるような人も多かったり、聞こえてくる会話の内容からは、到底絵画の本質を理解できているとは思えないような団体も居た。
興味などとは関係なく、観光の一環として来場している人も多いのだろう。
今回のメインであるミレーの作品は21点が展示されていた。彼の3大名画、『落穂拾い』『晩鐘』『羊飼いの少女』はやはり流石に圧巻だった。
特に前々から好きだった『晩鐘』の本物を間近で見ることが出来たのは一生の思い出になった。
今回のミレー展はかなり満足できた。
100点満点中90点というところだろうか?
マイナス10点は肝心なミレーの絵のうち、僕の好きな『種をまく人』と『タンポポ』の展示が無かったことである。展示されている21点の他にもミレーの作品には『四季』の連作集など素晴らしい作品はまだまだある。
特に僕が一番好きな『種をまく人』は同一の構図による作品がボストン美術館と日本の山梨美術館にあるはずだ。どちらかがニセモノとか言うわけではなく、どちらもミレー本人が描いた本物なのだが…2作品存在するというこの“謎”が原因で今回の展示には至らなかったのだろうか?
それとも後援団体にフランス大使館、主催にオルセー美術館が名を連ねているのでアメリカのボストン美術館にある『種をまく人』を選出したくなかったのだろうか?
色々勘繰ってしまう。
すっかり時間を忘れて没頭してしまい、77点を全て鑑賞するのに約2時間もかけてしまった。
久しぶりに、どっぷりと美術作品に浸った良い一日だった。
せっかくの好天だから溜まっていた洗濯物を片付け、ついでに毛布を干して…と色々やっていたら、あっという間にもうお昼。
毎週日曜日正午恒例のKBCテレビに釘付けになっていまった。
福岡の地元TV局「KBC九州朝日放送」(テレビ朝日系列)では日曜日の正午から自局制作の番組が2つ続く。
12:00からの『九州 街道を行く』と、
12:15からの『るり色の砂時計』だ。
ボクはこの二番組が大好きで毎週必ず、見られないときはビデオ録画してまで見ているのだ。
『九州 街道を行く』は、日本一の歴史作家・司馬遼太郎氏の名著「街道を行く」の九州地域の記述を基礎としてその引用文を紹介しながら各地の歴史や、あるテーマに沿ったその歴史を紐解いて行く紀行&歴史ドキュメンタリー番組で、各地の地元郷土史家や教育委員会などの尽力も大きな番組構成要因である。。
司馬氏の私見もなるべく交えることなく、あくまでも史実を追求していく…という、極めて良質の歴史番組。
歴史好きな僕には大変なご馳走とも言える番組なのだ。
『るり色の砂時計』は、
九州全域&山口県を舞台に、各地を巡って様々な名所旧跡、お店、宿そしてその土地ならではの美味しいものなど…を、地元の人々と交流を深めながら
紹介して行く旅情報番組。
この番組と『街道を行く』は九州ブロックネットで、福岡の他、山口、大分、長崎、熊本、鹿児島のテレビ朝日系列局でネットされており、
殊に『るり色』の人気は全国的にも高く、スカパー『スカイ・A』チャンネルでも放送されている。
いつの間にか土曜28時…というより日曜早朝4時から再放送もされているのはやはり好評だからなのだろう。
現在のナビゲーター・小島かおりさんは人懐っこそうで爽やかな笑顔がとても好感も持てるのだが、個人的には、その前のナビゲーターだった溝口多佳子さんのほうが好きだったなぁ…。
ドライブが趣味で九州各県大抵一通りは回っている僕としては、こんなに楽しく見られる旅番組なんて
そうそうない。
…というわけで、2つの番組を見終わったのが12時55分頃。その後色々と片付けものなどをした後、2時半頃から外出した。
目的地は福岡市美術館。
ここで現在『ミレー3大名画展』が開催されているのだ。
昔からミレーやドガ、ダリ、ロートレック、シャガールなどの絵が大好きだった。
特にミレーとドガの描く絵の雰囲気と繊細なタッチには中学生の頃の美術の教科書で初見したときから、一度で魅了されてしまった。
ミレーの絵では、日本人には『落穂拾い』が最もポピュラーで、その次が『晩鐘』といったところだろう。僕も『晩鐘』は彼の絵の中で最も好きな絵の一つだ。でもそれ以上に一番好きなのが『種をまく人』なのだが、大変残念なことにこの『種をまく人』が今回のミレー展では展示されていなかったのだ。彼の作品の中でも有名な作品の一つだから当然あるものだと思って行ったのに少しガッカリだった。
親友のOでも誘って行こうかと考え、前日から電話していたのだが、結局連絡がつかぬまま出発した。
大好きなミレーの本物を目にする機会など、今後もうありえないだろう。
そう考えると、たとえ一人でも、どうしても行くつもりだった。
僕の性格だから「そのうちに絶対…」なんて思っていると、結局行かないまま会期終了してしまうに違いないのだ。だから「行こう!」と決心した以上、絶対に今日行かなければならない。と自分に強く言い聞かせ、家を出て車を走らせた。
福岡市美術館は大濠公園の南側にあり、アパートから車で15分程度の距離だ。
美術館の周囲にある駐車場の車の数が予想以上に多かったので「もしや…?」と思いながら美術館に近づいて行くと観光バスや貸切バスなども何台も駐車していた。
「マジ…?」
館内に入り、『ミレー3大名画展』会場になっている「特別展示室A」のある2階に上った。人列の最終に並んで窓口で入場料1300円を支払いチケットを買った。展示室に向かっていくと、やっぱり日曜日だけあって予想以上の人、人、人…。
展示室入口の前には30m近くの行列。
最後尾に2列で並ぶように案内され、
「本日は大変大勢のご来場のため入場制限させて頂きます」と言うことで、一度に20〜30人ずつ中に入れていた。
展示されている絵はミレーだけではなく、44人77作品が展示されていた。
どれもヨーロッパの農業風景や土や草の薫りが漂ってきそうな作品ばかりだった。
どの絵にもこれでもかっ!というほどの観客が群がっている。
絵を鑑賞する場合、そのサイズによってベストな距離というものがある。
例えば『落穂拾い』のカンヴァスは83.5×111cmだが、その場合、2m少し離れて見なければ視界の中のベストポジションに絵全体を収めることが出来ない。当然その距離は大きさに比例するわけだが…。
僕が絵を見るときは、まずそのようにベストな距離をとって全体を見て、全体のイメージ、色彩、構図、内容などを見る。
そしてその時点で気になった箇所があれば間近に寄ってから詳細を見る。それから絵の横にある説明書きプレートで作品名、画家名、製作年、所蔵美術館名をチェックして再度、今度は比較的近い位置から上下左右に移動しながら絵の隅々まで鑑賞する。
というのを1枚1枚繰り返す。
ただ、気に入った絵、印象が深い絵は何度も繰り返して鑑賞したりもする。
でも、今日はあまりに人が多すぎて充分納得が行くまで見ることが出来ない絵もいくつかあったのが残念だった。
オバちゃんなどは絵から50cmくらい間近なラインをずーっと横に移動して行くような人なども案外多く、邪魔でしょうがなかった。
とても絵を見に来ているようには思えない人も多く、「あんた本当に好きで見に来たの?」と尋ねたい衝動に駆られるような人も多かったり、聞こえてくる会話の内容からは、到底絵画の本質を理解できているとは思えないような団体も居た。
興味などとは関係なく、観光の一環として来場している人も多いのだろう。
今回のメインであるミレーの作品は21点が展示されていた。彼の3大名画、『落穂拾い』『晩鐘』『羊飼いの少女』はやはり流石に圧巻だった。
特に前々から好きだった『晩鐘』の本物を間近で見ることが出来たのは一生の思い出になった。
今回のミレー展はかなり満足できた。
100点満点中90点というところだろうか?
マイナス10点は肝心なミレーの絵のうち、僕の好きな『種をまく人』と『タンポポ』の展示が無かったことである。展示されている21点の他にもミレーの作品には『四季』の連作集など素晴らしい作品はまだまだある。
特に僕が一番好きな『種をまく人』は同一の構図による作品がボストン美術館と日本の山梨美術館にあるはずだ。どちらかがニセモノとか言うわけではなく、どちらもミレー本人が描いた本物なのだが…2作品存在するというこの“謎”が原因で今回の展示には至らなかったのだろうか?
それとも後援団体にフランス大使館、主催にオルセー美術館が名を連ねているのでアメリカのボストン美術館にある『種をまく人』を選出したくなかったのだろうか?
色々勘繰ってしまう。
すっかり時間を忘れて没頭してしまい、77点を全て鑑賞するのに約2時間もかけてしまった。
久しぶりに、どっぷりと美術作品に浸った良い一日だった。
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